
■導入
こんにちは。ベトナムオフショア開発協会運営事務局です。
ベトナムオフショア開発を進める際、開発体制や費用、技術力に目が向きがちですが、実際のプロジェクトでは「どの情報を、誰が、どの範囲で扱うのか」を明確にしておくことも重要です。
特に、仕様書、ソースコード、顧客情報、テストデータ、アカウント情報などを海外の開発パートナーと共有する場合、秘密保持契約書、いわゆるNDAの内容が曖昧なままだと、後からトラブルにつながる可能性があります。
そこで当協会では、会員限定コンテンツとして「【活用ガイド付き】ベトナムオフショア開発 秘密保持契約書 ひな形」を公開しました。
本記事では、ベトナムオフショア開発で秘密保持契約書を確認する際に見ておきたいポイントと、本資料の活用方法を解説します。
■この記事の結論
オフショア開発の社内稟議では、費用やスケジュールだけでなく、「誰が何を担うのか」を体制図で示すことが重要です。特に、プロジェクト責任者、日常的な窓口、品質確認の役割を整理しておくことで、社内の不安や確認事項を減らしやすくなります。
ベトナムオフショア開発で秘密保持契約書が重要になる理由
オフショア開発では、日本国内の取引と比べて、関係者・作業場所・利用するインフラが複雑になりやすい傾向があります。
たとえば、次のような情報が開発会社に共有されることがあります。
- システム仕様書
- ソースコード
- 顧客情報や会員情報
- テストデータ
- 業務フロー資料
- クラウド環境の接続情報
- 画面設計書やDB設計書
これらは、いずれも企業にとって重要な情報です。
また、ベトナム側の開発会社だけでなく、クラウドサービス、外部ツール、再委託先などが関係するケースもあります。そのため、単に「秘密情報を漏らしてはいけない」と書くだけでは、実務上のリスクを十分に整理できないことがあります。
秘密保持契約書は、万が一のためだけに作るものではありません。
開発を始める前に、情報の扱い方や責任範囲を関係者間でそろえるための土台でもあります。
一般的なNDAだけでは整理しきれないこと
日本国内の取引で使われる一般的なNDAでも、秘密情報の定義や第三者開示の禁止、返却・廃棄などは定められています。
しかし、ベトナムオフショア開発では、それだけでは足りない場合があります。
特に確認しておきたいのは、次のような観点です。
個人データを扱うかどうか
テストデータを海外環境で利用するか
クラウド環境に情報を保存するか
再委託先が関与するか
インシデント発生時の連絡ルールがあるか
紛争が起きた場合、どこの機関で解決するか
たとえば、開発中に本番データに近いテストデータを共有する場合、個人データの越境移転や保護措置について確認が必要になることがあります。
また、AWSなどのクラウド環境を利用する場合、データの保存場所、アクセス権限、ログ管理、暗号化、多要素認証なども、契約上の確認ポイントになります。
「NDAはいつもの雛形でいいだろう」で済ませると、あとで人類恒例の“誰もそこまで考えていませんでした祭り”が開催されます。できれば避けたいところです。
秘密保持契約書で確認したい主なポイント
1.秘密情報の範囲
まず確認したいのは、何が秘密情報に該当するのかです。
開発プロジェクトでは、仕様書やソースコードだけでなく、顧客情報、営業情報、業務ノウハウ、画面設計、データベース構造など、幅広い情報が共有されます。
契約書では、媒体の形式や秘密であることの明示の有無にかかわらず、保護対象となる情報の範囲を明確にしておくことが重要です。
2.個人データの取り扱い
顧客情報やエンドユーザー情報を扱う場合、個人データの取り扱いに関する条項が必要になります。
特に、ベトナムオフショア開発では、個人データの収集、保存、処理、移転、削除などについて、双方の役割と責任を整理しておくことが重要です。
たとえば、誰がデータ管理者となるのか、誰が処理者となるのか、どの範囲で処理を行うのかを明確にする必要があります。
3.クラウド・インフラ利用時のルール
開発では、クラウドストレージ、開発環境、検証環境、CI/CDツールなど、さまざまなインフラが利用されます。
そのため、契約書では、クラウド環境に情報を保存する場合のルールや、アクセス管理、暗号化、ログ管理などのセキュリティ要件を確認しておくことが重要です。
特に個人データを含む場合は、保存先のリージョンや国外移転に関する取り扱いも確認対象になります。
4.再委託の可否
オフショア開発では、開発会社の中だけで完結するとは限りません。
一部の作業を別会社や外部メンバーに再委託するケースもあります。
この場合、再委託を許可するのか、事前承諾が必要なのか、再委託先にも同等の秘密保持義務を課すのかを明確にしておく必要があります。
再委託のルールが曖昧なままだと、情報がどこまで共有されているのか把握できなくなるおそれがあります。
5.インシデント発生時の対応
情報漏洩、不正アクセス、紛失などが発生した場合、いつ、誰に、どのような内容を通知するのかを決めておくことも重要です。
本資料のひな形では、個人データに関するインシデントが発生、またはその恐れがある場合に、発見後24時間以内に通知する内容が含まれています。
発生後の報告ルールが決まっていないと、初動が遅れ、被害範囲の確認や顧客対応にも影響します。
ベトナムオフショア開発では紛争解決条項も確認したい
秘密保持契約書では、紛争が発生した場合の解決方法も確認しておきたい項目です。
日本企業が契約書を作る場合、日本の裁判所を管轄に指定することがあります。しかし、ベトナム企業との取引では、実際にどこで、どのように解決するのが現実的かを検討する必要があります。
本資料のひな形では、ベトナム国際仲裁センター、VIACを紛争解決機関として指定しています。
これは、ベトナム国内での実効性を考慮した内容です。
契約書では、法的に正しいだけでなく、実際にトラブルが起きたときに機能するかどうかも確認しておく必要があります。
秘密保持契約書ひな形を活用するメリット
秘密保持契約書のひな形を活用することで、契約書をゼロから作成する負担を減らせます。
ただし、ひな形をそのまま使えばよいというわけではありません。
重要なのは、自社のプロジェクトに合わせて、確認すべきポイントを洗い出すことです。
たとえば、次のような確認に役立ちます。
- 自社がどの情報をベトナム側に共有するのか
- 個人データを扱う可能性があるか
- クラウド環境を利用するか
- 再委託が発生する可能性があるか
- インシデント時の連絡体制をどうするか
- 契約書のどこを専門家に確認してもらうべきか
ひな形を使うことで、社内確認やベンダーとの協議を進めやすくなります。
特に、初めてベトナムオフショア開発を検討する企業にとっては、契約前に確認すべき論点を整理する資料としても活用できます。
会員限定資料「ベトナムオフショア開発 秘密保持契約書 ひな形」について

当協会では、無料会員向けに「【社内稟議・提案書用】オフショア開発『体制図』テンプレート」を公開しています。
本資料では、ベトナムオフショア開発で確認しておきたい秘密保持契約書の条項を、実務で使いやすいひな形として整理しています。
主な内容は以下の通りです。
秘密保持契約書のひな形
個人データ処理に関する付属書
クラウド・インフラ利用時の確認項目
再委託・インシデント対応に関する条項
使い方・編集箇所のガイド
ベトナム企業への開発委託を検討している方や、契約前の確認事項を整理したい方は、ぜひご活用ください。
※本資料は参考サンプルです。実際の契約締結時には、必要に応じて弁護士などの専門家へご相談ください。
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よくある質問
Q1. このひな形をそのまま使えますか?
そのまま使える部分もありますが、実際の契約締結時には、自社のプロジェクト内容に合わせて修正する必要があります。必要に応じて、弁護士などの専門家に確認してください。
Q2. 個人データを扱わない場合も使えますか?
使えます。個人データを扱わないプロジェクトでは、個人データ処理に関する付属書を適用しない形で、通常のNDAとして活用できます。
Q3. BrSEはどのような役割ですか?
個人データ、クラウド利用、再委託、インシデント対応、紛争解決条項などは特に確認しておきたいポイントです。
Q4. オフショア開発では日本側にもPMが必要ですか?
本資料は、ベトナムオフショア開発の実務を踏まえたフォーマットです。一般的な日本国内の発注者優位の契約書とは異なる部分もあるため、自社の立場に合わせて調整してください。
まとめ
ベトナムオフショア開発では、開発会社の選定や費用比較だけでなく、秘密情報や個人データをどのように扱うかを事前に整理しておくことが重要です。
秘密保持契約書は、単なる形式的な書類ではありません。
情報共有の範囲、クラウド利用、再委託、インシデント対応、紛争解決方法などを明確にし、プロジェクトを安全に進めるための土台になります。
当協会では、会員限定コンテンツとして「【活用ガイド付き】ベトナムオフショア開発 秘密保持契約書 ひな形」を公開しています。
ベトナムオフショア開発を検討している方、契約前の確認事項を整理したい方は、ぜひご活用ください。
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また、オフショア開発に関するご相談も、無料会員の方を対象に受け付けています。
情報収集や開発体制の見直しに、ぜひご活用ください。







