
■導入
こんにちは。ベトナムオフショア開発協会運営事務局です。
オフショア開発を社内で提案する際、費用やスケジュールだけを説明しても十分ではありません。特に初めてベトナムオフショア開発を検討する場合、意思決定者や関係部署からは
「誰が責任を持つのか」
「日本側は誰とやり取りするのか」
「品質はどのように確認するのか」
といった確認が入りやすくなります。
そのため、社内稟議や提案書では、日本側とベトナム側の役割分担を整理した体制図を用意しておくことが有効です。体制図があることで、プロジェクトの責任範囲、日常的な窓口、エスカレーション先、品質確認の流れを関係者間で共有しやすくなります。
■この記事の結論
オフショア開発の社内稟議では、費用やスケジュールだけでなく、「誰が何を担うのか」を体制図で示すことが重要です。特に、プロジェクト責任者、日常的な窓口、品質確認の役割を整理しておくことで、社内の不安や確認事項を減らしやすくなります。
オフショア開発における体制図とは?
オフショア開発における体制図とは、日本側と海外開発拠点側の関係者、役割、責任範囲、連絡経路を整理した図のことです。
国内開発では、同じ会社や同じ言語・商習慣の中で開発を進めることが多いため、役割分担が多少曖昧でも進んでしまう場合があります。一方、オフショア開発では、国、言語、文化、商習慣、開発プロセスが異なるため、誰が意思決定を行い、誰が仕様を伝え、誰が品質を確認するのかを事前に整理しておく必要があります。
特にベトナムオフショア開発では、日本側の担当者とベトナム側の開発チームが直接すべてをやり取りするのではなく、BrSEやPMなどの役割を通じて、仕様確認や進捗管理を行うケースが一般的です。そのため、体制図を用いて関係者の位置づけを整理しておくことで、導入前の社内説明だけでなく、プロジェクト開始後の認識合わせにも役立ちます。
なぜ社内稟議で体制図が必要なのか
社内稟議で確認されるのは、単に「外注費がいくらか」「納期はいつか」といった条件だけではありません。実際には、その開発体制が現実的に運用できるか、発注側としてどこまで関与する必要があるか、問題が起きたときに誰が判断するのかといった点も重要になります。
まず確認されやすいのは、責任者が明確かどうかです。
日本側におけるプロジェクトの最終責任者は誰なのか、日々の進行管理を行うPMは誰なのか、ベトナム側の統括責任者は誰なのかを整理しておくことで、社内関係者がプロジェクト全体を把握しやすくなります。
次に重要なのが、日常的な窓口です。
オフショア開発では、日本側とベトナム側の間にBrSEが入り、仕様伝達や確認事項のやり取りを担うことがあります。誰に連絡すればよいのか、どのような内容を誰に確認するのかが曖昧なままだと、認識違いや確認漏れにつながる可能性があります。
また、品質確認の流れも社内稟議では説明しておきたいポイントです。
開発者が作成した成果物を誰が確認し、テストを誰が行い、不具合が出た場合にどのように報告・修正されるのかを示すことで、品質面の不安を軽減しやすくなります。
日本側で整理すべき主な役割
オフショア開発の体制図を作成する際、日本側では主にプロジェクトオーナーとPMの役割を整理しておくことが重要です。
プロジェクトオーナーは、日本側におけるプロジェクトの最終責任者です。プロジェクトの目的や方針を決め、社内承認や重要な判断を行います。開発現場の細かな進行管理よりも、ビジネス面や意思決定面の責任を担う役割といえます。
一方、PMはプロジェクト全体の計画・管理を担う役割です。進捗、課題、品質、スケジュールを確認し、ベトナム側との調整や社内への報告を行います。社内稟議では、PMがどの範囲を管理し、どのようにベトナム側と連携するのかを説明できると、実際の運用イメージが伝わりやすくなります。
ここで重要なのは、日本側がすべてを細かく管理する必要があるという意味ではありません。一方で、開発ベンダにすべてを任せきりにするのでもありません。日本側として判断すべきこと、確認すべきこと、ベトナム側に任せることを分けて整理することが、安定した体制づくりにつながります。
ベトナム側で整理すべき主な役割
ベトナム側の体制では、全体統括責任者、BrSE、テックリーダー、開発者、QAチーム/テスターなどの役割を整理しておくと、社内説明がしやすくなります。
全体統括責任者は、ベトナム側におけるプロジェクト全体の総責任者です。
品質、進捗、リソースに対する最終責任を持ち、体制面や重大な課題が発生した場合に判断・調整を行います。日々の細かなやり取りに常時参加するというよりも、契約、体制、重大課題が発生した際の上位責任者として位置づけられます。
BrSEは、日本側とベトナム側をつなぐ橋渡し役です。
日本側の要望や仕様を理解し、現地スタッフへ伝達します。また、現地からの確認事項や課題を日本側へ共有するなど、日常的なコミュニケーションの中心を担います。特に初めてオフショア開発を行う企業にとって、BrSEがどのような役割を担うのかを理解しておくことは重要です。
テックリーダーは、ベトナム側の開発チームにおいて、技術方針の決定やレビュー、開発メンバーの管理を行う役割です。開発者は、設計、開発、単体テスト、ドキュメント作成などを担当します。QAチーム/テスターは、テスト計画、実行、評価、不具合報告、再テストなどを通じて、成果物が要件を満たしているかを確認します。
社内稟議では、これらの役割を細かく説明しすぎる必要はありません。ただし、
「日本側が日常的にやり取りする相手は誰か」
「開発チームの技術的な判断は誰が見るのか」
「品質確認はどの役割が担うのか」
は、最低限整理しておくとよいでしょう。
社内稟議資料に入れておきたい体制図の要素
体制図を作成する際は、単に関係者の名前や役職を並べるだけでは不十分です。社内稟議や提案書で使う場合は、「誰が誰とやり取りするのか」「どこで意思決定が行われるのか」「品質確認はどの役割が担うのか」が分かるように整理することが大切です。
特に入れておきたいのは、日本側のプロジェクトオーナーとPM、ベトナム側の全体統括責任者とBrSE、開発チーム、QAチーム/テスターの位置づけです。加えて、日常的な連絡経路と、問題発生時のエスカレーション先を分けて示すことで、社内関係者にも運用イメージが伝わりやすくなります。
また、体制図は細かく作り込みすぎればよいというものではありません。初期の社内説明では、まず全体像が分かることが重要です。詳細な担当者名や細かな作業分担は、プロジェクト開始後に更新していく前提でも問題ありません。最初の段階では、日本側とベトナム側の関係性、日常的な窓口、責任者の位置づけが分かる体制図を用意することが有効です。
体制図がないまま進めると起こりやすい課題
体制図が整理されていないままオフショア開発を進めると、いくつかの課題が発生しやすくなります。
まず起こりやすいのが、確認先の曖昧さです。仕様確認や課題共有のたびに「誰に聞けばよいのか」が分からない状態では、やり取りに時間がかかります。特に、日本側とベトナム側で言語や業務理解に差がある場合、確認先が曖昧なことは認識齟齬の原因になります。
次に、責任範囲が曖昧になる可能性があります。日本側が判断すべきこと、ベトナム側が対応すべきこと、BrSEが調整すべきことが整理されていないと、問題発生時に対応が遅れることがあります。これは、開発の品質やスケジュールにも影響します。
さらに、品質確認の流れが見えにくくなることもあります。開発者、テックリーダー、QAチーム/テスターの役割が整理されていないと、成果物をどのように確認しているのかが社内に伝わりにくくなります。稟議の段階で品質面の不安が残ると、導入判断そのものが進みにくくなる場合もあります。
体制図テンプレートを活用するメリット
オフショア開発の体制図を一から作成しようとすると、どの役割を入れるべきか、どこまで細かく整理すべきかで迷いやすくなります。特に初めてベトナムオフショア開発を検討する場合、PM、BrSE、テックリーダー、QAチーム/テスターなどの役割を社内向けに説明するだけでも時間がかかります。
そのような場合は、基本的な体制図テンプレートを活用することで、日本側とベトナム側の役割分担を整理しやすくなります。既存のテンプレートをもとに、自社の体制やパートナー企業の体制に合わせて修正すれば、社内稟議や提案書にも展開しやすくなります。
体制図テンプレートは、単に図を作るための素材ではありません。社内関係者と認識を合わせるためのたたき台であり、パートナー企業と体制を確認するための共通資料にもなります。導入前の段階で体制を整理しておくことで、プロジェクト開始後のコミュニケーションや責任範囲の確認も進めやすくなります。
社内説明に使える体制図テンプレートを公開しています

当協会では、無料会員向けに「【社内稟議・提案書用】オフショア開発『体制図』テンプレート」を公開しています。
本資料では、日本側とベトナム側の基本的な役割分担を整理した体制図テンプレートと、PM、BrSE、テックリーダー、QAチーム/テスターなどの基本用語集を掲載しています。資料内でも、オフショア開発の提案書や体制図には国内開発ではあまり聞き慣れない役割や専門用語が登場するため、「誰が何をする人なのか」「自分たちは誰と話せばいいのか」を整理できる資料として構成されています。
ベトナムオフショア開発の導入検討や、社内稟議・提案書作成にぜひお役立てください。
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よくある質問
Q1. オフショア開発の体制図とは何ですか?
オフショア開発の体制図とは、日本側と海外開発拠点側の関係者、役割、責任範囲、連絡経路を整理した図のことです。社内稟議や提案書では、誰が意思決定を行い、誰が日常的な窓口になり、誰が品質確認を担うのかを説明するために活用されます。
Q2. オフショア開発の社内稟議では何を説明すべきですか?
費用やスケジュールだけでなく、開発体制、責任範囲、日常的な連絡窓口、品質確認の流れを説明することが重要です。特に初めてオフショア開発を検討する場合は、体制図を使って日本側とベトナム側の役割分担を明確にすることで、関係者の理解を得やすくなります
Q3. BrSEはどのような役割ですか?
BrSEは、日本側とベトナム側をつなぐ橋渡し役です。日本側の要望や仕様を理解し、現地の開発メンバーへ伝達します。また、現地からの確認事項や課題を日本側へ共有するなど、日常的なコミュニケーションの中心を担います。
Q4. オフショア開発では日本側にもPMが必要ですか?
プロジェクトの規模や契約形態によって異なりますが、日本側にも進捗、課題、品質、社内調整を確認する役割は必要です。ベトナム側にPMやBrSEがいる場合でも、日本側の判断や社内調整まで完全に任せることはできないため、日本側の責任範囲を明確にしておくことが重要です。
Q5. 体制図テンプレートはどのような場面で使えますか?
社内稟議、提案書作成、パートナー企業との体制確認、プロジェクト開始前の認識合わせなどで活用できます。特に、初めてオフショア開発を検討する場合は、関係者の役割や連絡経路を整理するたたき台として有効です。
まとめ
オフショア開発を社内で提案する際は、費用やスケジュールだけでなく、開発体制や責任範囲を分かりやすく説明することが重要です。特にベトナムオフショア開発では、日本側とベトナム側で役割が分かれるため、プロジェクトオーナー、PM、BrSE、テックリーダー、開発者、QAチーム/テスターなどの位置づけを整理しておく必要があります。
体制図を用意しておくことで、日常的な窓口、意思決定ライン、品質確認の流れを社内関係者に説明しやすくなります。社内稟議や提案書を作成する際は、体制図テンプレートを活用し、自社の検討状況に合わせて役割分担を整理してみてください。
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