
こんにちは!VOC事務局です。
「そろそろ外注も検討しようか」「リソースが足りないから、オフショア開発を活用したい」。——こうした声は、IT部門を中心に多くの企業で聞かれるようになりました。特にベトナムをはじめとするアジア諸国は、コスト面や人材の豊富さなどからオフショア先として注目を集めています。
しかし、オフショア開発をスムーズに進めるためには、単に「外部に発注すればいい」というものではありません。導入前にきちんと準備をしておくことで、期待していた成果が得られやすくなり、後戻りやトラブルのリスクを減らすことができます。
本記事では、オフショア開発の初期検討フェーズで押さえておきたい5つの準備ポイントを整理してご紹介します。これから初めて外部パートナーと組んで開発を進めようとしている方はもちろん、すでに外注経験がある方にとっても、改めての見直しとしてご活用いただければ幸いです。
この記事はこんな人にオススメ!
1.なぜオフショアを選ぶのか──「目的の言語化」
最初に確認しておきたいのが、「そもそも、なぜオフショアを選ぶのか」という根本的な問いです。人手不足の解消、コストの最適化、スピードの向上、24時間開発体制の構築、特定領域の技術獲得など、企業によって動機はさまざまです。
この段階で大切なのは、「目的をできる限り明確に言語化しておくこと」。たとえば「コスト削減」が目的であっても、単に単価が安いという理由だけで判断すると、成果物の品質やコミュニケーションコストで想定以上の手戻りが発生する場合もあります。
また、「継続的な保守体制を構築したい」といった中長期的な視点と、「とりあえず一部だけ切り出して試したい」という短期視点とでは、選ぶべき契約形態やパートナー像も変わってきます。
目的を明確にすれば、パートナー選定や進め方の判断軸がブレにくくなります。社内で合意形成を得るためにも、まずは自社にとってのオフショア導入の意味を整理しておきましょう。
2.社内リソースと役割分担の棚卸し
オフショア開発は「外に出す」ことだけで完結するものではありません。むしろ、社内に残す役割と外部に委ねる範囲を明確に線引きする必要があります。
たとえば、以下のような観点から棚卸しを行うと良いでしょう:
- 要件定義や仕様書作成は社内で行うのか、それとも外部パートナーに任せるのか
- プロジェクトマネジメント(進捗管理・レビュー対応など)はどの程度巻き取れるか
- エンジニアとのコミュニケーションを担当する役割は誰が担うか
- 時差・文化差・言語差に起因する認識のズレを、どこで吸収するか
特に初めてオフショアを導入する場合、「PMやBrSEを入れても、結局社内に意思決定が集まりすぎて詰まってしまった」というケースがよくあります。外部に期待する役割と、自社で担うべき責任範囲を早めにすり合わせておくことで、開発のボトルネックを未然に防ぐことができます。
3.情報共有の設計とコミュニケーションルール
オフショア導入時に課題としてよく挙がるのが、「認識のズレ」です。「ちゃんと伝えたつもりだった」「これくらいは理解してくれていると思った」といった前提がズレたまま進んでしまうと、手戻りやトラブルの原因になってしまいます。
この問題を回避するためには、「誰が・どの情報を・どのタイミングで・どんな手段で共有するのか」を事前に設計しておくことが大切です。
たとえば:
- 毎日の定例MTGと週次レポートで状況を共有
- 設計書・仕様書・Q&AのやりとりはNotionで一元管理
- フィードバックやレビューはGoogle Docs上でコメント形式で残す
- 一部の懸念はSlackでクローズドに相談 など
また、文書のバージョン管理や、会話のログを残す文化が整っていないと、「言った/言わない」のトラブルになりやすくなります。最低限のコミュニケーションルールを明文化しておくことは、特に海外のチームとの協働では大きな助けになります。
4.最初は“小さく始める”戦略を
いきなりフルスケールで委託するのではなく、「まずは一部だけ切り出して試してみる」戦略は、オフショア導入において非常に有効です。たとえば以下のようなスモールスタートが考えられます。
- 検証ツールや管理画面など、単独で成立する機能開発
- テスト工程のみの外部化(QA特化チームの活用)
- 既存の設計書をベースにした追加開発
- ドキュメント整備やデータ移行など周辺業務の委託
スモールスタートの目的は、パートナー企業との相性を確認することだけではありません。社内の関係者が「外部と協働するとはどういうことか」を実感し、文化や進め方の違いを肌感で理解することも大きなメリットです。
「一度試してみて、うまくいけば徐々に拡大していく」——このステップを挟むだけで、導入へのハードルは大きく下がります。
5.「誰に相談できるか」を知っておく
最後に挙げたいのが、「いざというとき、どこに相談できるか」を把握しておくことです。
特に初めてオフショア開発を導入する企業にとっては、「そもそもどの企業に相談すればいいのか」「相場感が分からない」「社内稟議にどう通せばいいのか」など、技術以前の悩みが数多く出てきます。
VOCでは、こうした悩みを持つ企業向けに、ベトナムオフショアに関する基礎情報、導入の進め方、パートナー選定の考え方などを整理した情報を発信しています。さらに、企業ごとのニーズに合わせて、信頼性の高い現地企業をご紹介するマッチング支援も行っています。
「わからないことを、誰にどう聞けばいいか分からない」という状態こそが、オフショア導入における最大のリスクかもしれません。判断に迷った際に相談できる窓口を持っておくことで、安心して次のステップに進めるようになります。
おわりに
いかがでしたか?
オフショア開発は、単なる「安く発注できる手段」ではありません。目的や役割分担、進め方の整備、関係者の意識など、多くの準備があってこそ、ようやく本来の価値を発揮します。
今回ご紹介した5つの観点は、導入を成功に導くための出発点です。まずは自社の状況と照らし合わせて、できるところから着手してみてはいかがでしょうか。
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